月刊タイムス2018年12月号 追い詰められる〝芸能界のドン" 橋本征雄

秘密を知る男の暴露で窮地

追い詰められる〝芸能界のドン〟  

元用心棒の反旗に「バーニング」周防社長はどう対抗するのか 

 

昨年7月6日に、バーニングプロの〝ドン〟 周防郁雄社長との関係を赤裸々に綴った暴露 本『狼侠』(発行元・㈱大翔、発売元・㈱れん が書房新社)を上梓した大日本新政會の笠岡 和雄総裁が、同年9月 23 日に女優・仁科亜希 子に対する恐喝未遂容疑で逮捕されている。 芸能界のドンと元用心棒の死活を賭けた闘争 はどう決着 するのか。

 

●ジャーナリスト

橋本 征雄

 

 笠岡総裁は、バーニング事務所に 銃弾が撃ち込まれた事件の際、周防 社長から直々の依頼で、同社長の用心棒になった暴力団組長(当時の二代目松浦組)であり、周防氏の裏の 顔を最もよく知る人物だった。笠岡 総裁の『狼侠』が出版されると、周防社長は、元特捜検事の矢田次男弁護士を代理人にして民事訴訟を提訴 している。そして、笠岡総裁は警視 庁町田署に仁科の件で逮捕されたの だ。

 周防社長と笠岡総裁が邂逅するき っかけを作ったのは、松方弘樹と仁科亜希子夫妻が、息子の仁科克基の 芸能界入りで笠岡総裁に相談したか らだった。  バーニング周防社長のことを〝芸 能界のドン〟として長年タブー扱い してきたマスメディアは、こうした経緯について報道してこなかった。

仁科・笠岡の恐喝未遂事件の裁判の公判 で、既に事件の概要はかなり明らかになってきており、 さらに周防社長の為に警視庁が動いたことも表に出てきている。

 

【周防氏の報道は〝タブー〟】

「大日本新政會の笠岡氏の暴露は衝 撃的でした」

 そう語るのは、実話誌の編集長等 を経て、芸能レポートを発行してき たジャーナリストのA氏である。 「なにしろ、大日本新政會のブログ には、周防氏が元バーニング所属の女優で、周防氏の愛人だったという 水野美紀の殺害を、笠岡氏に依頼し た話まで書いてありましたからね。

最初に水野抹殺の話が登場した時には、芸能マスコミは色めき 立ちましたよ。でも誰も怖くて 周防氏に直接取材にはいかなかった。いや、元から周防氏と親しい芸能メディアは、〝こんな のが出ていますよ〟と言ったか も知れない。少なくとも僕の周 囲では周防氏に取材を試みた記者は いない。何しろ周防氏はヤクザや警 察も使うと言われており、怖い存在 ですからね。『週刊文春』(2013 年9月 12 日号)が、周防氏が元『モ ーニング娘。』と元タカラジェンヌ に、NHK『八重の桜』のプロデュ ーサーへの枕営業による接待をさせ た件を記事にしていましたが、バー ニングは表向きダンマリでしたよ。 玉石混交のネット情報であり、暴力 団が作った右翼団体のブログだから、 下手に騒ぐより無視した方が得策と 判断したのでしょうね。でも、昨年 7月に活字として出版(前述の『狼 侠』)されたから、周防氏も無視出 来なくなった。それで訴訟を起こし たのでしょう。その後に笠岡氏が警 察に逮捕されたので、やはり〝周防 氏は恐ろしい〟という認識が広まり、 今では文春でさえ、採り上げなくな っている」

 

 もし、テレビのワイドショーでも 放送すれば、視聴率アップ間違いな しだが、あまり期待は出来ないだろ う。何しろ、9月 20 日に仁科亜希子 が証言台に立ち、自ら証言した事さ え、新聞・テレビは報道しなかった。 かつては「お嫁さんにしたい女性の No1」の人気女優だったのに―。もちろん、仁科が問題なのではなく、 彼女を操っていた周防氏に対してマ スコミは遠慮しているのだ。

 

【以前は浜田幸一の運転手】

 仁科は、法廷での証言で周防氏から「一緒に裁判しよう」と言われたので、笠岡氏を訴えたことを認めて いる。

 そして、周防氏が仁科に紹介した弁護士が、町田署に行くことを勧めたという。町田署は2014年にも笠岡氏を、娘の名義でマンションを契約した詐欺罪で逮捕しており、当時の町田署には周防氏と親しいと言われてきたO警部がいた。

 O警部は、山口組系暴力団の後藤 組と取引して町田署に飛ばされたと 言われていた警視庁の暴力団担当刑 事だった。

 第6代警察庁長官の後藤田正晴氏 の相談役だったとされ、裏社会や警 察情報に強いと言われてきた朝堂院 大覚氏は、O警部のことを次のよう に評している。 「Oは、後藤組の後藤忠政組長を逮 捕した男だが、後藤組から金を貰っ て再逮捕しないと約束した。殺人事 件の容疑でカンボジアに逃げていた後藤忠政組長が帰国できたのは、その為だ。警視庁の内部でも問題にされ、町田署に飛ばされてもう都内には戻って来れないと聞いていたが、 今年2月の人事異動で23 区内の荻窪署に戻っているから、Oの味方をする 不良警官グループがいるのだろう」

 ちなみに、朝堂院氏の主宰するイ ンターネットニュースJRPTV (2014・ 05 ・ 14 に公開)には、「月 刊TIMES」に記事を書いていた ジャーナリストの大川啓一氏が、奈 良新聞・東京支局の記者だった時代 にある人物から聞いた話を周防氏に 取材したエピソードを披露している。

 まだ周防氏が〝芸能界のドン〟と 呼ばれる前のことだが、バーニング 所属の歌手で後に角界の関取と結婚 する歌手の高田みづえの父親が、過失致死罪で服役していたことを理由 に、マスコミ対策と称して周防氏が 高田の母親から金を強請っていたという のだ。自分の所属タレントの親から も金を強請る周防氏のヤクザ気質に 義憤を感じた大川氏が、当時はまだ 今ほど有名ではなかった周防氏に取 材を申し込むと、周防氏は「テメー、 コノヤロー、俺を強請る気か。そん なことしたらぶっ殺すぞ」とヤクザ 紛いの脅しをかけてきたという。

 大川氏が、「周防を怒らせるのは まずいから」という先輩記者の勧め で周防氏に挨拶に行くと、「お前、 俺の事をよく調べてから来い。俺の 事を知らないのならハマコーに聞い てこい」と言ったという。周防氏は 浜田幸一議員を代議士にしたのは自分だと大川氏に公言したそうだ。

 そこで大川氏が、元稲川会系の暴力団組員だったことを認める浜田議 員に周防氏について聞くと、「周防が俺を代議士にしただと? あいつ は俺の舎弟で運転手だった男だとの返事だった。

 大川氏が、再び周防氏に会って 「浜田議員の運転手だったそうじゃ ないですか」と言うと「なんでハマ コーのとこに行って、そんな話をし てきたんだよ」と怒っていたという。

 芸能界のドンも、この頃はまだ自 分を大きく見せる為にハッタリをす る必要があったのか。とは言え、女 を食い物にしたり、「俺を誰だと思 っているんだ」と凄むあたり、ヤク ザ気質と言っても、親分ではなく、 まるでチンピラのようだ。

 つづく